抗がん剤治療の問題 続き
抗がん剤治療には、感受性(ホルモン治療)の問題もあると先ほどお話しました。
そのほかにも薬物耐性の問題があります。
薬物耐性とはその文字の通り、薬物に対して耐性を持ってしまうということです。
患者の中には抗がん剤が効かない人が、まれにいます。
それは、生まれつき抗がん剤の攻撃に耐えることができる体質の人で、これらの人は自然耐性とも呼ばれています。
また、抗がん剤治療を始めたころは効果があったのに、だんだんとそれが効かなくなることもあります、
これは抗がん剤に対して人間の体に耐性が出来てしまったことから起きます。
たとえばインフルエンザのウィルスもタミフルが効かなくなるとか、薬に対して進化を続けるようです。
こうしたことは自然のことなのでしょうが、それが人間の体にも起きているのですね。
そういえば、頭痛持ちの人が同じ薬を常用していると、そのうちに薬があまり効かなくなるといいます。
さきほどの自然耐性である患者の場合は、別の抗がん剤を使うことになるのです。
こうして抗がん剤は人間の生まれ持った体質、遺伝子により、その効果が違ってくるのです。
ですが、現在では抗がん剤の適合具合を遺伝子検査で事前に調べることが出来るようになりました。
この研究が進めばそれぞれの患者に、より効果的な抗がん剤の種類や、効果がある抗がん剤がわかるようになります。
患者は自分が薬物耐性があるかないかは自分でわかりません。
抗がん剤治療を始めてからようやく分かる事実ですから、それが事前にわかれば治療法も変わってくるでしょう。