卵巣がんの抗がん剤治療 続き
もちろん「ドキシル」にも副作用はあります。
手足の痛みや赤み、口内炎や吐き気、または感染症などが見られることもあります。
ですが、現在使われている他の抗がん剤と比べても、比較的、副作用は少ないとされています。
このような薬剤が認可されることは、患者にとっては、抗がん剤治療の選択肢が増えることは何よりも助かるでしょう。
抗がん剤治療に使われる「ドキシル」が日本で認可されたのは今年ですが、米国などでは再発した卵巣がんの治療に1999年から使われていました。
この経歴があるからこそ、市民団体の要望があったのでしょう。
卵巣がん体験者の会として活動している「スマイリー」がドキシル認可を求めて3年前から署名活動を始めていたそうです。
同じ抗がん剤を何回も使うと効果がなくなってきますから、そうすると、使える抗がん剤はどんどん減っていくのです。
治療法がなくなるのは患者にとって何よりも辛いことですから、こうして新しく認可された薬剤が抗がん剤治療に使えるようになることは本当に喜ばしいことです。
日本婦人科腫瘍学会が発表した2007年の卵巣がん治療に関わるデータによると、卵巣がんが再発した時の治療薬として使われている7種類の抗がん剤の中で、2つについては今も保険がきかないそうです。
この2つのうちの「トポテカン」は保険対象の承認に向けて、治験が行われていると言います。
もう1つの「ジェムザール」という抗がん剤は、肺がん、すい臓がんには、承認されています。
ですが、卵巣がんには現段階では承認申請予定もありません。
これは一部の施設で、臨床研究や、または肺がんの転移などの治療薬として使用されています。
早くすべての抗がん剤に保険がきくようになるといいですね。
卵巣がんの抗がん剤治療
日本国内でも1年間におよそ8000人が発症しているのは卵巣がんです。
卵巣がんには、抗がん剤治療が有効だと言われていますが、再発する場合も多々あります。
日本では、海外に比べ使用可能な抗がん剤の種類がとても少ないことが問題でした。
この度、患者団体の強い要望から、再発の卵巣がんに使う抗がん剤、「ドキシル」が2009年4月に承認されました。
卵巣がんと言えば、早期にはあまり自覚症状がなく、これと言って有効とされる検診方法もありません。
よって、半数の人は、残念ながら卵巣がんが進行してしまった状態で発見されます。
卵巣がんの治療には、外科手術と抗がん剤治療を一緒にすることが基本となっています。
抗がん剤としては「パクリタキセル」と「カルボプラチン」を使います。
再発した場合、これらの治療を続けているうちに、抗がん剤は効きが悪くなります。
これはがん細胞が薬に対して抵抗力を持ち始めてしまうからです。
こうした場合、次に使う抗がん剤として、今年4月に承認された薬剤が「ドキシル」です。
「ドキシル」は、乳がんの抗がん剤治療に使う「アドリアマイシン」を特別な物質で包み、効果的にがん細胞まで薬剤が届くよう研究、開発した薬です。
再発した卵巣がんの患者さんで約2割の人のがんが縮小されたという効果が臨床実験でわかっています。
ですが、まだ生存期間をどれほど延ばせたかデータはありません。
また、患者の痛み、苦痛を緩和出来ることが期待されています。
抗がん剤治療の期間はどれくらい?
抗がん剤治療を受ける場合、一体どれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?
目安になる期間はあるのでしょうか?
抗がん剤はその患者に合っているかどうかや、がん細胞に合っているかどうかなど、相性によって薬の効き目が出たり、効き目がなかったりします。
この場合には、使っている抗がん剤の種類や単剤、他剤別、そして投与した時期、投与した期間が重要です。
通常のケースでは手術後のがん再発に備え、ある一定の期間だけではありますが、抗がん剤を投与します。
この場合、薬剤の再発防止効果や、投与する期間の長さは、やはり薬剤と人間との相性などを含め沢山の要素が関係してくるためとても難しいのです。
しかし、一応、一般的とする投与期間は決まってはいるのです。
それは使用する抗がん剤の種類でその期間は異なりますが、一般的に、3週間から4週間で区切り、1つの投与期間にしています。
この1つの投与期間を抗がん剤治療では「1クール」と呼びます。
「1サイクル」と呼ぶこともあります。
この期間内に、1回から数回に分けて、抗がん剤を投与します。
その後の経過は、抗がん剤の効果と、起きた副作用を見ながら間隔を空けて、また更に3クールから4クールの抗がん剤治療を行うことが一般的な治療方法です。
しかし、外来で処方の経口抗がん剤の場合は、数年続けて服用する必要もあります。
ちなみに、欧米では、一部の抗がん剤以外のものは経口処方はされていません。
なぜなら、服用することでの体内における薬剤の吸収率が問題視され、効果が確認出来ない状態です。
このように抗がん剤の効果がきちんと証明されない手法で、長く抗がん剤を投与することには抵抗があると言われています。
抗がん剤治療と口内炎 続き
抗がん剤治療中の患者さんにみられる副作用、口内炎のお話の続きです。
初めのほうは、口の中がなんとなくざらざらした感じになり、焼けた感じがしたり、液体がしみてきます。
そして、粘膜が赤くなってしまう発赤で口内炎は始まります。
粘膜が腫れてプチっと、できもののようなものが見られるようになり、膿がついたような斑点が出てきます。
これからさらに進行すると、痛みを伴う潰瘍が出来てしまいます。
そして、そこから出血するケースもあります。
口内炎は粘膜ならどこでも出来てしまうのです。
唇や頬の内側、歯ぐきや舌、口の中全部が潰瘍のようになってしまい、食べ物を摂取できないほど痛みがあります。
どうですか?本当に辛そうですよね。
これは健康な人が、たまに口の中に出来る口内炎とは、レベルが違うことが良くおわかりになったでしょうか?
こうした抗がん剤治療の副作用で起こる口内炎はどれくらい続くのでしょうか?
通常であれば口内粘膜が再生するのは10日~2週間ですので、そのくらいで治ってきます。
ですが、次の抗がん剤投与が始まったり、口内炎からの感染がひどくなれば、もちろん治るのには時間がかかります。
特に抗がん剤と放射線を一緒に使った化学放射線治療ですと、咽頭部に放射線が当てての治療ですから、その部分も副作用が出てきてしまいます。
食べ物を飲み込む際に、とても強い痛みを感じ、口から何も摂取できなくなるケースもあります。
食べることが出来なくなれば体力も落ちますし、楽しみもなくなります。
ですから、口内炎は軽視できるような症状ではありません。
患者にとっては、痛いだけでなく精神的にもとてもつらいものでしょう。
抗がん剤治療と口内炎
抗がん剤治療の副作用で口内炎が起きてしまうケースも少なくありません。
食道がんの放射線治療の後に、口内炎になってしまい、喉の奥まで腫れて痛みが出てくる場合もあります。
そして何も飲み込めないくらい、口内炎がひどくなるケースもあります。
このように抗がん剤だけではなく、放射線治療の副作用でも口内炎になってしまうケースもあるのです。
一般の人は口内炎と聞くと、たいしたことないと思いがちですよね。
みなさん、一度は口内炎が出来たことがあるでしょうから、「ああ、あの口の中に出来る、あれね。」と、なんとなく症状がわかると思います。
そうして口内炎は軽視されることが多いのですが、抗がん剤治療の副作用で出来てしまう口内炎は、健康な人が思っている口内炎とは全く違うのです。
口内炎は抗がん剤による副作用で、これは症状が出る人が多く、およそ4割の患者さんがなっています。
一度発症したら、治療には時間がかかります。
口内炎が重症になってしまうと抗がん剤治療を続けられなくなる場合もあるのです。
また、抗がん剤治療を続けられたとしても、薬の量を減らすなど、治療にかなりの影響を及ぼします。
その上、口内炎から感染し、それが全身に広がる危険なケースもありますから、口内炎は軽視してはならない症状なのです。
口内炎は、抗がん剤を投与してから2日目から4日目くらいに出てきます。
放射線治療では放射線を当ててから、2週間目から3週間目ごろ、出てくることが多いです。
抗がん剤治療の副作用とグレード その3
抗がん剤治療の副作用を我慢できる人、出来ない人と患者によって個人差はあります。
我慢強くない人でも、抗がん剤治療の効果がとても出ていますよと言われれば、多少辛くても我慢してしまうでしょう。
効果より先に副作用が出てしまうこともあります。
副作用が耐えられないほどつらいようでしたら、担当医に早めに言うことも大切です。
さて、先ほど、抗がん剤の副作用についてグレードの6段階で表わすことをお話しました。
このように有害である抗がん剤治療の副作用は、その治療行為との因果関係も深くかかわりがあると思われがちですが、実はこれとは関係なく評価が出されます。
これはどういうことなのでしょう?
治療行為との因果関係はまた別の方法で示されているということです。
治療との因果関係は、「間違いない」、英語では「difinite」、「関係が薄い」英語では「unlikely」、とグレードとは別の評価があるのです。
これは有害である事象ごとに因果関係を評価しています。
記載する方法としては例として「白血球減少 グレード3」「因果関係、間違いない」のように書かれるのです。
医療機関ではCTCAEで示されたグレードなどどのように活用しているのでしょうか?
CTCAEに従った有害事象の問診表を、治療終了後に患者に記入してもらっているところもあります。
こうしてデータベースを作成し、各治療コースのデータが見られるようにして活用している病院もあるということです。
抗がん剤の副作用とグレード その2
抗がん剤治療による副作用のグレードのお話をしている続きです。
先ほどお話したように、6段階のグレードに分かれている副作用の危険度ですが、ちょっと難しかったかもしれませんので、わかりやすくお話します。
アメリカのNCIという機関では、それぞれの抗がん剤に対しての危険度を6段階に区分して評価を公開しているわけです。
抗がん剤治療を始めて何も副作用の症状が出ない場合や、なんとなく調子が良くないが、薬がいらない状態であり、数日経過したら収まる程度のものはグレード0または1となります。
このケースであれば、患者は副作用を我慢しながら、抗がん剤治療を続行することが出来ます。
そしてグレード2以上となると、副作用の症状に、薬を飲むなどの処方、処置が必要になってくるケース、また抗がん剤投与を中断したり、次回投与を延期したりする必要があるケースです。
グレード3以上になるともっと副作用がひどい状態になり、グレード5では死亡してしまいます。
では抗がん剤治療における副作用のひどさ、重さはどのように計るのでしょう?
これらの副作用は、血液データの数字でわかったり、自覚症状であったりします。
数字で現れるのであれば、担当医がわかりますので、患者自身は安心です。
ですが副作用を自覚症状で判断するのは個人差があります。
患者によって、症状を我慢できる人もいれば、我慢できない人もいますよね。
例えば、我慢強い人と、そうでない人、患者もいろいろなタイプもいますから。
抗がん剤の副作用とグレード その1
残念ながら抗がん剤治療における過程で死亡はありえることです。
「肺がん治療薬イレッサ」による薬剤事件は代表的なものであり、ご存知の方もいらっしゃると思います。
他にも、抗がん剤治療の副作用で心配される症状は、貧血、または白血球、血小板が少なくなってしまう血液毒性、それに伴う感染症、出血などがあります。
また、心毒性になることで重症な不整脈、心不全を引き起こすこともあります。
腎毒性が引き起こす腎不全、肝毒性でなってしまう肝不全、そして消化管粘膜障害によって起こされる腸炎などが死亡に繋がるケースがあります。
抗がん剤治療に伴う副作用、これがレベルで示されていることをご存知でしょうか?
段階として1から5まであるのです。
この副作用の段階が上がるに連れて、抗がん剤投与により死亡してしまうリスクが強くなるということです。
アメリカには「National・Cancer・Institute」、通称NCIと呼ばれる機関があります。
このNCIが定めている有害事象判定基準というものがあります。
これは英語で「Common・Toxicity・Criteria・of・Adverse・Effect」、通称CTCAEと呼ばれるものなのです。
このVersion3が、抗がん剤の有害事象の評価に使われます。
そこで定められているグレード0からグレード5の6段階の評価があり、グレード0が正常な状態で、上になるほど危険で、グレード5が死亡ということになります。
乳がんの抗がん剤治療 その3
乳がんの抗がん剤治療に使われる薬剤とその副作用についてお話している続きです。
「メトトレキセート」という薬があります。
これは注射薬で、がん細胞が作られる過程を阻害する働きがあります。
副作用としては肝障害や腎障害、そして口内炎を引き起こすケースがあります。
「5-FU]は注射薬です。がん細胞が作られる経過で阻害をします。
副作用では、吐き気、下痢、嘔吐、肝障害、白血球の減少、皮膚の色素沈着などが見られます。
「ファルモルビシン」という薬は「アドリアシン」と同じ注射薬です。
がん細胞の増殖を抑える効果があり、副作用も「アドリアシン」とだいたい同じですが、どちらかと言うとアドリアシンよりも軽度の副作用になります。
「タキソテール」または「タキソール」と呼ばれる薬は注射薬で、がん細胞が細胞分裂することを抑える薬です。
副作用としては白血球の減少、または脱毛、そして末梢神経障害があげられます。
「アドリアシン」という薬は注射薬であり、がん細胞が増えて成長することを抑える効果があります。
副作用としては、白血球が減少してしまうことや、脱毛、また吐き気、嘔吐など、そして心筋梗塞の原因となる場合もあります。
「トラスツズマブ」は遺伝子組み替えを活用した新しい薬剤です。
HER2タンパクの受容体に付着します。
がんの再発や転移に有効だと言われていますが、心臓への毒性があることで知られています。
このように同じ乳がんの抗がん剤治療に使われる薬でも、その作用と副作用に若干の違いがあることがわかりますね。
乳がんの抗がん剤治療 その2
乳がんの抗がん剤治療を続ける上で問題が浮上します。
乳がんに対して抗がん剤治療を続けていると、がん細胞が抵抗性を身につけてしまうのです。
ある特定の抗がん剤を使い続けた場合、がん細胞にこの抵抗性が出来ることにより、がんの症状は改善されません。
このケースは、結果、副作用だけが残るという事態になります。
ですから、がん細胞にまだ抵抗性が身に付いていない、初期の治療ほど、効果的治療であるということになりますね。
乳がんの抗がん剤治療には、単独使用ではなく、手術、またはホルモン療法、放射線治療と抗がん剤を組み合わせるケースがあります。
こうして複数の治療法を合わせる治療方法を集学的治療と言います。
例えば、手術後に抗がん剤治療をすることによって、外科手術では切除しきれなかったがん細胞を殺し、その再発を抑える目的で使われるのです。
抗がん剤や手術をそれぞれ単独で使う治療よりも、複数の治療法を合わせたほうが効果が期待できると言われています。
現在、日本で乳がん治療に使われている抗がん剤にはいくつかありますが、その薬剤の働きと副作用はどのようなものなのでしょうか?
まず乳がんの抗がん剤治療に使われる薬剤で「エンドキサン」というものがあります。
エンドキサンには注射薬、内服薬があります。
エンドキサンというものは、がん細胞のDNAを破壊する働きがあります。
白血球が減少する症状が副作用として出るほか、出血性膀胱炎、または脱毛、そして嘔吐などの症状が出る場合があります。