薬害イレッサ訴訟
以前、抗がん剤治療に関してこんな事件がありました。
2002年、イレッサという抗がん剤には重い副作用があることをわかっていながら、国はこれを承認しました。
イレッサの販売を続けたことが、被害を拡大させてしまったのです。
副作用で苦しむ患者たち、またすでにこのイレッサの副作用で死亡した患者の遺族たちが、アストラゼネカという製薬会社と国を相手に損害賠償を求めていました。
これを「薬害イレッサ訴訟」と言います。
製薬会社である、大阪のアストラゼネカが販売していた抗がん剤、イレッサは、2002年に発売されました。
発売当時は、副作用が少なくて手軽に自宅で使える新薬と話題を呼びました。
これを待っていた患者さんたちもいたでしょう。
ですが、発売から、わずか2ヶ月後のことです。
イレッサによる抗がん剤治療をしていた26人が副作用と思われる間質性肺炎等を発症しました。
そして残念なことに、その中で13人が死亡してしまったのです。
その後も続けて、副作用を発症した人は急増しました。
2008年3月までには1916人が発症して、その中の734人が死亡したということです。
この抗がん剤、イレッサが厚労省から承認されたのは2002年7月です。
申請してから、なんと半年後に承認されたという、スピード承認でした。
原告弁護団によると、承認された時、製薬会社側は、動物実験によって重い副作用があることをすでに知っていたと言います。
実は海外、日本国内で人間も死亡した臨床ではない例もあったそうです。
抗がん剤治療とQOLの改善
抗がん剤治療は、その薬の強い効果を期待し、沢山の量の抗がん剤を使用した場合、それに伴って副作用も、とても強くなってしまいます。
それは、抗がん剤が、がん細胞だけではなくて、正常細胞も同時に攻撃するからです。
良い細胞もダメージを受けて、様々な症状が出てきます。
それが副作用となります。
こうしたことから、抗がん剤治療にはその効果と、それに伴う副作用、双方のバランスを考えて投与しなければならない難しい治療と言われています。
患者さん一人一人によってケースは様々でしょうから、余計に難しいですよね。
抗がん剤を投与したことで、上手くがん細胞を抑制できたとしましょう。
ですが、そのために副作用で患者さんが長く苦しむのであれば、これは良いことと言えるでしょうか?
例えば高齢者など、残りの人生を副作用で苦しむことになれば、ご家族も抗がん剤治療を考え直すかもしれません。
そこで、抗がん剤を投与する際は「QOL」の改善を考えることが必要と言われています。
Quality Of Life、これは生活の質という意味です。
せっかくがんを治療していても、ひどい副作用に苦しみ続けることは、患者さんのことを考えると、正しい治療とは言えない気がしますから。
QOLの改善の方法として多剤併用療法と呼ばれるものがあります。
これは副作用をなるべく抑えられるよう、そして抗がん剤の効果を高められるように、いくつかの抗がん剤を組み合わせ投与する治療法です。
これらの組み合わせた抗がん剤で、どのように効果が期待出来て、どのような副作用になるのか、病院側から説明を受けて、納得してから抗がん剤治療に入ることが大切です。
抗がん剤治療は重要な治療法
抗がん剤治療は、外科手術や、放射線治療と同じように、現在の医療ではがんを治療するための重要な治療法の1つです。
みなさんもご存知のように、抗がん剤と言えば、必ず副作用が出るというイメージがあります。
それは確かにそうなのですが、患者が副作用に苦しまないよう、抗がん剤の研究は日夜続けられ、常に進歩しています。
もちろん抗がん剤も、新薬がいろいろと開発されています。
新薬に効果を期待する患者さんも多くいるでしょう。
また、今、使われている抗がん剤でも、なるべく副作用を少なくするような投与の方法が研究されています。
これは患者の苦痛を少し手も減らそうという努力です。
抗がん剤はどんなものも多少の副作用が出る危険性はあります。
ですが危険性ばかりでなく、体の中でがんの進行をおさえる効果も進歩し続け、現在はがん治療に大きな効果をもたらしています。
もちろん、抗がん剤の効果は、症状や患者の年齢、その他様々な要素で違ってきますが、昔のように、がんは不治の病と言われていたものから大きく変わりました。
白血病さえも抗がん剤で半分は完治できると言われています。
残念ながら白血病で亡くなる方もいらっしゃいますが、白血病を克服して、社会復帰する人も沢山いらっしゃるのです。
これらのケースでも抗がん剤治療の結果だと思います。
副作用が付きものだと言われる抗がん剤治療、脱毛やひどい吐き気などが起こってしまう患者さんもいるようですが、がん死滅の効果も期待できる重要な薬剤なのです。
抗がん剤治療の問題
抗がん剤の効果は、同じがんであっても、症状が同じであっても、患者によって出る効果には個人差があります。
抗がん剤が早く効き始める人もいれば、遅く効く人もいるのが普通なのです。
当然、それに伴い、抗がん剤による副作用も違ってきます。
がほんのわずかで軽い人もいれば、ひどい副作用が出る人もいます。
患者の体力があるか、ないかでも、抗がん剤の効果は変わってきますし、年齢が若いかどうかも関係してきます。
また腫瘍が小さかったら抗がん剤の効果が出やすいというデータもあります。
もちろん例外もありますから、抗がん剤治療の結果は一概には言えないことばかりです。
また投与する抗がん剤の種類やその組み合わせ、または量によっても効果も副作用も変わってきます。
抗がん剤治療で難しいことは、このような様々なケースがあって、一概にはこうだと言えないところです。
患者の状態やがん細胞の進行の度合い、体力、年齢、いろいろなことを考えて抗がん剤の治療は行われています。
感受性の問題と言って、前立腺がんや、乳がんまたは子宮がんでは、がん細胞が成長するためにホルモンも必要です。
そこでホルモン作用を妨害する別のホルモンを使いがん細胞が成長することを阻止しようとする、ホルモン療法が使われています。
ここで問題になることは、がん細胞が特定のホルモンを受け入れるかどうか、それが感受性の問題と呼ばれています。
抗がん剤治療には様々なケースがあります。
個人差がとても出る治療で進め方も難しいでしょう。
がんと抗がん剤治療
抗がん剤は、日本でも50年くらい前からずっと使用され続けている薬です。
これは体内のがん細胞を死滅させる効果があります。
また研究や開発も進められ、進化を続ける抗がん剤、またその種類も増えています。
そもそも、がんの治療法には、外科の手術や放射線での治療、化学療法、またはホルモン療法など様々な方法があります。
その中の化学療法に抗がん剤を使っての治療は含まれます。
抗がん剤と言うと、副作用のことを一般の方でもよくご存知でしょう。
どうも副作用が強いイメージがありますよね。
現在、がん治療に使用されている抗がん剤には、あまり副作用が現れないものもあるようです。
ですが、やはり多くの抗がん剤は必ず副作用が伴います。
不思議なことに、同じ抗がん剤を同じ症状の人に使ったとしても、現れる副作用は、患者によって個人差が出てきます。
そこが抗がん剤を使った治療の難しいところなのでしょう。
もし抗がん剤治療を始めるとしたら、どうしても気になるのは副作用のことですよね。
副作用には、抗がん剤を投与して、すぐに出てくる症状もあります。
また、時間が経ってから副作用が出るものもあります。
がん治療を長く続けていたら、途中から副作用が出てきたというケースもあり、それは人それぞれのようです。
抗がん剤治療をすると決めたら、その副作用には耐えていかなければならないのですが、患者にとっては苦痛でしょう。
副作用がまったく無いという夢のような抗がん剤が出てくることをみんな期待していますが、現実的には難しいようです。