美白成分-ハイドロキノン~2~
抜群の美白効果を誇るハイドロキノンですが、その働きはどうなっているのでしょうか。
その美白効果の高さから「肌の漂白剤」といわれることもありますが、実際にはもちろん肌の漂白や脱色をするわけではありません。
ハイドロキノンは、シミの元となるメラニン色素が生成される際に必要な、チロシナーゼという酵素の働きを抑制するという働きのほか、メラニン色素を作っているメラノサイトという細胞を減少させる効果も持っています。
また、メラニン色素同士がくっつき、大きくなっていくことを抑える作用もあります。
これが、ハイドロキノンの特徴の一つです。
シミになること自体を抑えるという効果と、シミが大きくなり目立つようになることを防ぐという、ダブルの効果があるわけです。
現在市販されている美白化粧品のなかでは、他のどれよりも美白効果が高いとされ、美白成分の一つであるアルブチンに比べて、その効果は100倍以上といわれています。
副作用としては、高濃度のものを繰り返し使うことで、その部分だけが白く漂白されたような白斑になってしまう場合があるということが挙げられます。
日本で化粧品として配合されているものは、かなり低い濃度に設定されていますが、皮膚科などで処方される高濃度のものに関しては注意が必要です。
そこまで強い副作用ではなくても、アレルギー症状や、炎症、かぶれなどを起こす場合もあります。
肌の弱い方は特に、医師にご相談の上使用されることをおすすめします。
美白成分-ハイドロキノン~1~
ハイドロキノンは、「肌の漂白剤」とも言われる、即効性のある美白成分です。
アメリカではFDA(米国食品医薬局)が唯一認めている美白成分でもあり、欧米の美白化粧品には主にハイドロキノンが使用されています。
日本では1957年に化粧品への配合が禁止されて以来、医薬品として、シミの治療などに使用されてきました。
当時は、ハイドロキノンと同じような効果があるとされていたハイドロキノンベンジルエーテルという薬品による、肌に白斑ができるというトラブルが続出し、その時にハイドロキノンも併せて禁止薬品とされました。
その後、ハイドロキノンの作用や効果が解明され、ハイドロキノンベンジルエーテルとは違うものだとわかり、2002年になってハイドロキノンの化粧品への配合が認められました。
ただし、美肌効果が高い分だけ刺激も高いとされ、化粧品へは濃度1~2%程度での配合となっています。
医療現場では濃度5~10%で使用されていることからみても、化粧品の安全性の高さがうかがえますが、人によってはアレルギー反応を起こす場合もありますので、高濃度のものを使用するときは医師に相談されることをおすすめします。
酸化しやすい性質を持っていますので、保管には注意が必要です。
日の当たらない場所に置くなどの管理をし、開封後はふたをしっかりと閉めて冷蔵庫で保管するようにしましょう。
また、冷蔵庫保管でも状態を保てるのは1・2ヶ月といわれています。
使用期限をしっかり守ることも大切です。
酸化してしまったハイドロキノンを使用した箇所に紫外線が当たると、さらにシミを作ってしまうことがあります。
美白成分-リノール酸S
オーラルケアのメーカーとしても有名なサンスターが、18年間もの歳月をかけて研究開発した美白成分がリノール酸Sです。
紅花油から抽出されるリノール酸は美白効果を持っていますが、浸透性に優れ、そのままでは表皮を通り越して真皮にまで浸透してしまうため、高い美白効果が得られにくいとされていました。
そこで、リノール酸を酵素処理してメラノサイトのある表皮に留まるように作られたのが「リノール酸S」です。
2001年に厚生労働省より医薬部外品の美白成分として認可を受けました。
サンスターの美白化粧品には、愛称の「リノレックS」として表示されています。
リノール酸Sは、シミの原因となるメラニン色素の生成をコントロールしている酵素チロシナーゼを分解し、チロシナーゼの量そのものを減らす働きがあります。
同時に、肌のターンオーバーをサポートし、できてしまったメラニン色素の排出を促進させます。
この二つの働きと、非常に高い浸透性で、優れた美白効果を実現することができました。
また、肝斑への効果も期待できるとされています。
肝斑は、目の周りや頬骨の上などに左右対称に出来る、女性特有のシミで、美白化粧品による改善が難しいとされています。
さまざまな化粧品メーカーが、美白成分について研究開発をし、それぞれの美白化粧品に独自の美白成分を配合していますが、現在、リノール酸Sが配合されている美白化粧品は、サンスターが発売している「エクイタンス」シリーズのみとなっています。
美白成分-トラネキサム酸
トラネキサム酸は、抗炎症作用、抗止血作用などがあり、止血剤として使用されていました。
以前から、歯槽膿漏による出血を抑えるために、歯磨き剤の成分としても配合されています。
そのトラネキサム酸に優れた美白効果があることがわかり、シミなどの治療用として皮膚科で処方されたり、美白化粧品に配合されるようになりました。
トラネキサム酸が、その美白効果を一番発揮するのは、肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミに対してです。
肝斑は、妊娠中の方や更年期の女性のホルモンバランスの乱れによって引き起こされる女性特有のシミで、目の下にもやもやとした感じで左右対称にできます。
黄体ホルモンなどの女性ホルモンの影響で、メラノサイト活性化因子であるプラスミンがメラノサイトを刺激し、メラニン色素の生成を促すために出来ると考えられています。
紫外線による比較的くっきりとしたシミとは区別が付きやすく、また、それらのシミと異なり、美白化粧品やレーザー治療などで治療することが難しいシミでもあります。
トラネキサム酸は、プラスミンの働きを阻害して、メラノサイトの活性化を抑制するとされ、肝斑の治療に効果のある唯一の成分であるとされています。
また、もう一つの特徴として、シミ以外の周囲の皮膚には影響を与えないため、シミの部分だけが白くまだらになるというトラブルが起こりにくいことが挙げられます。
シミの炎症を抑制することで、自然を肌色になじむようになるといわれています。
ビタミンC、ビタミンEといったサプリメントと一緒に使うことで、その効果が高まることがわかっています。
美白成分-t-AMCHA
強い紫外線を浴びると「紫外線を浴びた」ということを伝える情報伝達物質「プロスタグランジン」が分泌されます。
これがメラノサイトに到達し、メラニン色素生成の指令が出されます。
t-AMCHAは、この情報伝達物質プロスタグランジンの生成を抑え、メラニン色素の生成を抑制します。
また、肌荒れを誘発するたんぱく質酵素の生成も抑制し、肌を正常で健康な状態に保つ働きもあり、ニキビ肌の方にも有効な成分であるとされています。
化粧品メーカーである資生堂が開発し、美白成分として2002年に厚生労働省の医薬部外品の認定を受けました。
美白化粧品に配合されるものには、大豆や卵黄から抽出されたものが使われています。
t-AMCHAは、動植物の生体成分の一つとして欠くことのできないリン脂質です。
親水性と親油性の両方の性質を持つ、天然の界面活性剤でもあります。
界面活性剤は、美容成分を肌へより浸透させるためには有効ですが、化学的に合成されたものは、逆に肌のトラブルを引き起こしかねなく、悪影響も懸念されます。
t-AMCHAが配合されている美白化粧品は、資生堂から発売されている「クレ・ド・ポー ボーテ」シリーズの「セラムブラン エクストラ ta」です。
空前の美白ブームにある日本の化粧品業界において、研究開発の一番の最先端にあるのは資生堂であると、コスメ通の間では評判になっているそうです。
「セラムブラン エクストラ ta」は、資生堂の誇る美白化粧品であり、最新最強の美白化粧品であるともいえそうですね。
美白成分-ルシノール
化粧品メーカーであるポーラが、シベリアのモミの木に、優れた美白効果を示す成分があることを発見しました。
その成分に改良を加えたものがルシノールです。
1998年に美白成分として、厚生労働省の医薬部外品の認可を受けました。
「ルシノール」というのは、開発を手がけたポーラの登録商標になります。
一般名(科学名)は「4-n-ブチルレゾルシノール」といいます。
このため、他社の美白化粧品の成分表には「4-n-ブチルレゾルシノール」と表記されている場合があります。
紫外線による刺激を肌が受けると、メラノサイトという細胞内で、チロシンという物質とチロシナーゼという酵素が結びつき、メラニン色素が生成されます。
チロシンとチロシナーゼは、カギとカギ穴のような関係に例えることもでき、チロシナーゼというカギ穴に、チロシンというカギがピッタリと合うようになっています。
ルシノールは、カギ穴であるチロシナーゼにピッタリと合う構造をもち、チロシナーゼと結合することでチロシンとチロシナーゼの結合を妨げ、メラニンの生成を阻害します。
この考え方を、ルシノールを開発したポーラでは「メラニンロック機能」と呼んでいます。
酵素チロシナーゼの働きを阻害する成分は、アルブチンなどの他の美白成分にも含まれていますが、ルシノールはごく微量で作用し、チロシナーゼ活性阻害効果は、アルブチンの数万倍とも言われています。
また、肌への影響が少なく、ハイドロキノンと同じ程度の美白効果がありながら、安全性が高いともいわれています。
美白成分-カモミラET
カモミラETとは、カミツレの葉から抽出される成分のことです。
カミツレはヨーロッパ産のキク科の草で、英語ではカモミールと呼ばれます。
化粧品メーカーの花王が、カミツレエキスを使って独自に開発したものが「カモミラET」で、そのために他社で使われる場合は「カミツレエキス」または単に「カモミール」と表記されます。
日本では1999年に美白成分として医薬部外品の認定を受け、美白化粧品に配合され始めました。
多くの美白成分は、メラニン色素を合成するチロシナーゼという酵素の活性化を抑えて、メラニン色素の生成を抑制させるという働きをしますが、このカモミラETは、それらの美白成分とは作用の仕方が異なります。
カモミラETは、表皮にあるメラノサイトという細胞に、メラニン色素を生成するように指令を出す「エンドセリン」という情報伝達物質をブロックします。
ブロックすることでメラニンの生成は抑制され、メラノサイトの増殖も抑えられます。
また、エンドセリンはシミのある部分に多く存在していますので、シミ自体を薄くさせるという効果も期待できます。
これらの相乗効果のよって、カモミラETを使った美白化粧品は、「浴びてしまった紫外線の記憶をなかったことにする」とさえ言われています。
頬にできる、ふちのくっきりとした丸いシミのことを、医学的には「老人性色素斑」とか「日光色素斑」と呼んでいます。
カモミラETは、この老人性色素班に特に効果があるといわれています。
美白成分-エラグ酸
エラグ酸は、ゲンノショウコ、ユーカリ、ナッツ類、イチゴなどのベリー類、ザクロなどに含まれているポリフェノールの一種です。
アメリカではガン細胞の自然死を促進させるとして話題になっています。
日本では、ライオンがイチゴの美白効果から、その美白成分であるエラグ酸を発見し、美白化粧品としての開発を始めました。
1996年には美白成分として医薬部外品の認定を受けました。
肌の表皮にあるメラノサイトという細胞内で、酵素チロシナーゼが活性化することで、チロシンからメラニン色素が生成されます。
エラグ酸は、チロシナーゼのなかの銅イオンをうばい去ることで、チロシナーゼが活性化することを阻害し、メラニンの生成を抑制します。
その美白効果は、「肌の漂白剤」とも言われているハイドロキノンと同等ともされています。
しかも、もともとは天然植物成分であることから、刺激の強いハイドロキノンとは違い、サプリメントとして食べることが出来るほど安全といわれています。
ただし、イチゴに含まれているエラグ酸は非常に微量で、抽出も困難であることから、化粧品に配合されているエラグ酸は、南アフリカや南米ペールに生息しているマメ科の植物「タラ」の実から抽出されたものが使われています。
現在の日本の医学規制においては、ハイドロキノンと同程度の美白効果を出すほどエラグ酸の濃度を上げて配合することが出来ないそうです。
そのため、残念なことに、驚異的と呼べるほどの美白効果を体験することは不可能となっています。
美白成分-プラセンタエキス
「プラセンタ」は、英語で「胎盤」という意味の言葉です。
胎盤は、臓器の機能が十分でない胎児の、臓器の機能を補う働きをしています。
胎児は胎盤を通して、母胎から酸素や栄養素などを受け取り、大きく成長していきます。
プラセンタエキスは、胎盤から無菌状態で抽出され精製されたエキスで、化粧品に配合されるエキスは豚の胎盤によるものが多く使われているようです。
プラセンタエキスの美白効果は、メラニンの生成を抑制する働きのほか、メラニンの排出を助ける働きもあります。
また、プラセンタには、ビタミン(特にビタミンB群)をはじめ、ミネラル、アミノ酸、拡散、各種の成長因子などが豊富に含まれています。
これらの栄養素を摂取することで、美白効果だけでなく、肌のキメを整えたり、シワやたるみを防いだりという美肌効果も期待できます。
プラセンタの大きな特徴の一つに、各種の成長因子(細胞増殖因子、グロスファクター)を含んでいることが挙げられます。
成長因子とは、細胞を刺激して細胞分裂を促進させる活性化因子のようなもので、自然界には胎盤にしか存在しません。
この成長因子の働きによって、新陳代謝が活発になり、肌のトラブルが改善されていきます。
プラセンタエキスは、直接肌に塗る方法が一番効果が高いといわれています。
美白化粧品として購入する場合は、プラセンタの濃度の高いものを選ぶといいでしょう。
ただし、成長因子などの有効成分が豊富なため、使用を続けると自己再生力が衰えるとも言われています。
毎日使用するのではなく、頻度を決めて使うようにしてください。
美白成分-アルブチン
アルブチンは、コケモモ、ウワウルシなどの植物に含まれる成分で、ハイドロキノンとブドウ糖が結合したものです。
メラニン色素を合成する酵素の働きを抑制し、メラニン色素が生成されるのを防ぐため、美白成分として多くの美白化粧品に配合されています。
特徴としては、ハイドロキノンのような即効性や強い美白作用は期待できませんが、肌への刺激が弱く、トラブルを起こすことがほとんどないということです。
そのため、肌の弱い方も安心して使うことができます。
アルブチンには、α-アルブチンとβ-アルブチンがあり、その構造と働きが若干異なります。
α-アルブチンは、コケモモなどに含まれている成分です。
化粧品メーカーである資生堂の研究開発によって、同社の美白化粧品に使われてきましたが、2003年に特許が切れたことで、多くの化粧品メーカーで使用されるようになりました。
β-アルブチンは、ウワウルシといわれるツツジ科のハーブに含まれている成分です。
こちらは江崎グリコにより開発され、特許を取得しています。
どちらも、メラニンを生成する酵素、チロシナーゼの働きを阻害しメラニンの生成を抑制しますが、その効果は、α-アルブチンのほうが10倍以上強いと言われています。
美白効果だけで判断するのでしたら、α-アルブチン配合の化粧品のほうが、高い効果が得られるということになります。
一般に「アルブチン」とだけ言われる場合は、β-アルブチンを指すこと場合が多いようです。