抗がん剤治療とQOLの改善
抗がん剤治療は、その薬の強い効果を期待し、沢山の量の抗がん剤を使用した場合、それに伴って副作用も、とても強くなってしまいます。
それは、抗がん剤が、がん細胞だけではなくて、正常細胞も同時に攻撃するからです。
良い細胞もダメージを受けて、様々な症状が出てきます。
それが副作用となります。
こうしたことから、抗がん剤治療にはその効果と、それに伴う副作用、双方のバランスを考えて投与しなければならない難しい治療と言われています。
患者さん一人一人によってケースは様々でしょうから、余計に難しいですよね。
抗がん剤を投与したことで、上手くがん細胞を抑制できたとしましょう。
ですが、そのために副作用で患者さんが長く苦しむのであれば、これは良いことと言えるでしょうか?
例えば高齢者など、残りの人生を副作用で苦しむことになれば、ご家族も抗がん剤治療を考え直すかもしれません。
そこで、抗がん剤を投与する際は「QOL」の改善を考えることが必要と言われています。
Quality Of Life、これは生活の質という意味です。
せっかくがんを治療していても、ひどい副作用に苦しみ続けることは、患者さんのことを考えると、正しい治療とは言えない気がしますから。
QOLの改善の方法として多剤併用療法と呼ばれるものがあります。
これは副作用をなるべく抑えられるよう、そして抗がん剤の効果を高められるように、いくつかの抗がん剤を組み合わせ投与する治療法です。
これらの組み合わせた抗がん剤で、どのように効果が期待出来て、どのような副作用になるのか、病院側から説明を受けて、納得してから抗がん剤治療に入ることが大切です。
抗がん剤治療はどんな時に必要?
抗がん剤治療はどういった場合に行われているのでしょうか?
がんが早期に発見され、がん細胞がわずかな狭い範囲内に留まっているケースはどうでしょうか?
こうしたケースは、外科手術により切除したり、または放射線を使っての治療も有効だと言われていますから、抗がん剤は使いません。
ですが、がん細胞が増加すると伴に、リンパや血液と一緒に、がん細胞は全身に渡ってしまいます。
このようなケースでは、限られた部分の局所的な治療では追いつきませんので、全身に効果をもたらす治療法が必要であり、それが抗がん剤治療なのです。
抗がん剤には元々、がん細胞を死滅させたり、がん細胞の増殖を抑える効果があります。
ですから、がん細胞の進行を抑えることができるのです。
それに、がん細胞が、活発に細胞分裂を続けて増えている時が、一番抗がん剤が効くと言われています。
注射や点滴、服用することで体の隅々まで薬剤が行き届きます。
抗がん剤が効きやすいがんと、効きにくいがんもあります。
急性白血病や、悪性リンパ腫、または小児がんなど、これらのがんは、抗がん剤だけで完治するケースもありますから、抗がん剤の威力が証明されていますね。
乳がん、胃がん、それに前立腺がんは、抗がん剤治療はかなり効果を上げているというデータもある一方、膀胱がん、すい臓がんなどは、効果があまり出ないようです。
これには見つけにくいがんであることが、関係しているのでしょうか。
外科手術に補助的な治療法として、抗がん剤治療が併用される場合もあります。
抗がん剤治療と脱毛
抗がん剤治療では髪の毛が抜け落ちてしまう人が多いようですが、これも副作用の症状です。
残念ながら、抗がん剤という薬剤はがんを治す特効薬というわけではありません。
もちろん中には抗がん剤治療で、がんが完治する患者さんもいるでしょうが、がんの進行を遅らせたり、患者さんの苦痛を緩和させることも抗がん剤の効き目と言われています。
抗がん剤治療の副作用で、みなさんもご存知のように脱毛が起こります。
治療中の患者さんで、すべて髪の毛が抜け落ちてしまった方も多いと思います。
特に女性の患者さんはこの脱毛の副作用は精神的につらいでしょう。
吐き気や他の症状もつらいでしょうが、女性の患者さんは、やはり外見を気にするものです。
帽子をかぶったり、カツラをつけたり、なんとか前向きに対処して、がんばって治療を続けて欲しいものです。
このようなケースでカツラが必要な場合は「夏目雅子ひまわり基金」で無料貸し出ししてくれるそうですから、これは嬉しいサービスですよね。
抗がん剤という薬は、がん細胞のように細胞分裂の早い細胞にダメージを与えるように作られていますので、良い細胞であっても早い細胞分裂のため、抗がん剤に攻撃されてしまう細胞もあるのです。
それが毛根の細胞なのです。
抗がん剤ががん細胞だけを選んだり、見分けてから攻撃することは出来ないので、良い細胞も一緒に攻撃され、ダメージを受けてしまいます。
ですが抗がん剤の量によっても脱毛の症状は軽減するとのことです。
そして、抗がん剤の使用をやめたらまた、毛根の細胞は活発に再生しますので髪の毛が生えてきます。
抗がん剤治療は重要な治療法
抗がん剤治療は、外科手術や、放射線治療と同じように、現在の医療ではがんを治療するための重要な治療法の1つです。
みなさんもご存知のように、抗がん剤と言えば、必ず副作用が出るというイメージがあります。
それは確かにそうなのですが、患者が副作用に苦しまないよう、抗がん剤の研究は日夜続けられ、常に進歩しています。
もちろん抗がん剤も、新薬がいろいろと開発されています。
新薬に効果を期待する患者さんも多くいるでしょう。
また、今、使われている抗がん剤でも、なるべく副作用を少なくするような投与の方法が研究されています。
これは患者の苦痛を少し手も減らそうという努力です。
抗がん剤はどんなものも多少の副作用が出る危険性はあります。
ですが危険性ばかりでなく、体の中でがんの進行をおさえる効果も進歩し続け、現在はがん治療に大きな効果をもたらしています。
もちろん、抗がん剤の効果は、症状や患者の年齢、その他様々な要素で違ってきますが、昔のように、がんは不治の病と言われていたものから大きく変わりました。
白血病さえも抗がん剤で半分は完治できると言われています。
残念ながら白血病で亡くなる方もいらっしゃいますが、白血病を克服して、社会復帰する人も沢山いらっしゃるのです。
これらのケースでも抗がん剤治療の結果だと思います。
副作用が付きものだと言われる抗がん剤治療、脱毛やひどい吐き気などが起こってしまう患者さんもいるようですが、がん死滅の効果も期待できる重要な薬剤なのです。
抗がん剤っていくらぐらいするの?
抗がん剤治療に使われている薬にかかる費用はどれくらいなのでしょうか?
残念なことに、抗がん剤の中には、保険が効かない薬剤もあります。
ですから費用は高いと言えます。
もし、抗がん剤の効果があるとわかっていても、費用が高くて手が出ない患者もいることは事実です。
長い間、抗がん剤治療に使われている抗がん剤は価格の安い物もあります。
それは新薬の特許が切れた後で発売されて、その場合は前より値段が安くなるのです。
こうした品を「後発品」と言います。
これらはジェネリック医薬品と呼ばれ、結構、多くの種類が発売されているのです。
よく抗がん剤に使われるシスプラチンは、先発品ですと1本50ミリグラム入ったものが約16000円です。
これが後発品になりますと、だいたいの値段は7000円から12000円と、とても安くなります。
注射で使われる抗がん剤で、1本あたりはどれくらいの値段になるのでしょうか?
リツキサンという薬は500ミリグラム入りでおよそ219.100円します。
またハーセプチンは150ミリグラムで74.000円ほどです。
タキソールは100ミリグラムで43.800円くらいします。
抗がん剤の飲み薬ですと、1錠あたりどれくらいの値段なのでしょうか?
肺がんに使用されるイレッサの価格に付いて言いますと、250ミリグラムが6800円程度、白血病などに使われるグリベックが100ミリグラムで3200円、胃がんに使われるティーエスワンは25ミリグラム850円と、値段は様々です。
保険治療の場合は高額療養費制度がありますので一ヶ月の支払総額に上限があります。
収入によってその金額は違いますが、8万から15万円ほどです。
支払った超過分については、手続きでお金が戻ってきます。
抗がん剤治療の問題 続き
抗がん剤治療には、感受性(ホルモン治療)の問題もあると先ほどお話しました。
そのほかにも薬物耐性の問題があります。
薬物耐性とはその文字の通り、薬物に対して耐性を持ってしまうということです。
患者の中には抗がん剤が効かない人が、まれにいます。
それは、生まれつき抗がん剤の攻撃に耐えることができる体質の人で、これらの人は自然耐性とも呼ばれています。
また、抗がん剤治療を始めたころは効果があったのに、だんだんとそれが効かなくなることもあります、
これは抗がん剤に対して人間の体に耐性が出来てしまったことから起きます。
たとえばインフルエンザのウィルスもタミフルが効かなくなるとか、薬に対して進化を続けるようです。
こうしたことは自然のことなのでしょうが、それが人間の体にも起きているのですね。
そういえば、頭痛持ちの人が同じ薬を常用していると、そのうちに薬があまり効かなくなるといいます。
さきほどの自然耐性である患者の場合は、別の抗がん剤を使うことになるのです。
こうして抗がん剤は人間の生まれ持った体質、遺伝子により、その効果が違ってくるのです。
ですが、現在では抗がん剤の適合具合を遺伝子検査で事前に調べることが出来るようになりました。
この研究が進めばそれぞれの患者に、より効果的な抗がん剤の種類や、効果がある抗がん剤がわかるようになります。
患者は自分が薬物耐性があるかないかは自分でわかりません。
抗がん剤治療を始めてからようやく分かる事実ですから、それが事前にわかれば治療法も変わってくるでしょう。
抗がん剤治療の問題
抗がん剤の効果は、同じがんであっても、症状が同じであっても、患者によって出る効果には個人差があります。
抗がん剤が早く効き始める人もいれば、遅く効く人もいるのが普通なのです。
当然、それに伴い、抗がん剤による副作用も違ってきます。
がほんのわずかで軽い人もいれば、ひどい副作用が出る人もいます。
患者の体力があるか、ないかでも、抗がん剤の効果は変わってきますし、年齢が若いかどうかも関係してきます。
また腫瘍が小さかったら抗がん剤の効果が出やすいというデータもあります。
もちろん例外もありますから、抗がん剤治療の結果は一概には言えないことばかりです。
また投与する抗がん剤の種類やその組み合わせ、または量によっても効果も副作用も変わってきます。
抗がん剤治療で難しいことは、このような様々なケースがあって、一概にはこうだと言えないところです。
患者の状態やがん細胞の進行の度合い、体力、年齢、いろいろなことを考えて抗がん剤の治療は行われています。
感受性の問題と言って、前立腺がんや、乳がんまたは子宮がんでは、がん細胞が成長するためにホルモンも必要です。
そこでホルモン作用を妨害する別のホルモンを使いがん細胞が成長することを阻止しようとする、ホルモン療法が使われています。
ここで問題になることは、がん細胞が特定のホルモンを受け入れるかどうか、それが感受性の問題と呼ばれています。
抗がん剤治療には様々なケースがあります。
個人差がとても出る治療で進め方も難しいでしょう。
抗がん剤治療と脱毛
がんの抗がん剤治療に使われる抗がん剤、その副作用は、みなさんいくつかご存知でしょう。
中でも一般的に知られている副作用が脱毛ですよね。
がん治療をしている患者さんで、髪の毛がまったくなくなってしまったケースもよくテレビなどで見かけます。
抗がん剤を使用すると、どうして髪の毛が抜けてしまうのでしょうか?
それは抗がん剤が人間の細胞の中でも、すごいスピードで細胞分裂するものを攻撃するように作られているからです。
その早いスピードで細胞分裂しているものが、正しく、がん細胞なのですが、なんと毛根の細胞も分裂のスピードが速いのです。
このため、毛根細胞も抗がん剤に攻撃されてしまうので一時的ですが毛が抜け落ちてしまいます。
抗がん剤治療では副作用による脱毛というものは一時的です。
治療が終わればまた毛が生えてくるのですから、これは我慢するしか無いようですね。
ですが女性にとってはとてもつらいことです。
女性にとっての抗がん剤治療はつらい治療であることは否定できません。
抗がん剤にはどれくらいの種類があるのでしょうか?
それは現在、6種類あります。
まず代謝拮抗剤、アルキル化剤です。
そして白金製剤に、抗がん性抗生物質、それに、植物アルカロイド、そして分子標的治療薬です。
白血球が減少してしまう副作用を持つ抗がん剤もあるのです。
白血球がもし少なくなったとしたら免疫力が落ちるということです。
抗がん剤治療をしている間は感染にも気をつけなければいけません。
病室を隔離したり、スタッフも患者を感染させないよう、十分に注意を払わなければなりません。
100種類の抗がん剤
がんの中で、抗がん剤の種類が一番多いのは、乳がんに使う抗がん剤です。
それでは、日本の抗がん剤はどれくらいあるのでしょうか?
日本だけで言うと100種類近い数の抗がん剤があるのです。
すごい数ですよね!
そしてその中の30種類ほどが乳がんの抗がん剤となっています。
乳がんの治療といえば、昔からホルモン療法が主流でした。
ですが、近年になってからは、乳がんには主に抗がん剤治療が行われています。
乳がんでは進行したがん、再発したがんの治療に抗がん剤が使用されています。
乳がんは比較的、抗がん剤が効きやすいと言われているので効果も期待できるでしょう。
肺がんについてはどうでしょうか?
肺がんは外科手術をするケースも多いですが、抗がん剤治療も数多く行われています。
そもそも抗がん剤というものは化学物質を基にした薬剤であり、がん細胞のDNA合成を阻害し、そのがん細胞を死滅させます。
現在では、数多くの抗がん剤が発売、使用されています。
その中でも、肺がんに使われる抗がん剤は、白金製剤と抗がん剤をあわせて使う2剤併用療法が一般的とされています。
乳がん同様に、肺がんの抗がん剤も種類は結構あります。
乳がんの抗がん剤治療の次に、種類が多いのが肺がんの抗がん剤だと言うことです。
抗がん剤投与には2種類の方法があり、点滴で投与する点滴薬、そして服用する内服薬があります。
双方が同じくらい使われているのかと思えばそうではありません。
点滴薬のほうが効果が確実なので、化学療法としては抗がん剤を点滴で行うことが主流です。
がんと抗がん剤治療
抗がん剤は、日本でも50年くらい前からずっと使用され続けている薬です。
これは体内のがん細胞を死滅させる効果があります。
また研究や開発も進められ、進化を続ける抗がん剤、またその種類も増えています。
そもそも、がんの治療法には、外科の手術や放射線での治療、化学療法、またはホルモン療法など様々な方法があります。
その中の化学療法に抗がん剤を使っての治療は含まれます。
抗がん剤と言うと、副作用のことを一般の方でもよくご存知でしょう。
どうも副作用が強いイメージがありますよね。
現在、がん治療に使用されている抗がん剤には、あまり副作用が現れないものもあるようです。
ですが、やはり多くの抗がん剤は必ず副作用が伴います。
不思議なことに、同じ抗がん剤を同じ症状の人に使ったとしても、現れる副作用は、患者によって個人差が出てきます。
そこが抗がん剤を使った治療の難しいところなのでしょう。
もし抗がん剤治療を始めるとしたら、どうしても気になるのは副作用のことですよね。
副作用には、抗がん剤を投与して、すぐに出てくる症状もあります。
また、時間が経ってから副作用が出るものもあります。
がん治療を長く続けていたら、途中から副作用が出てきたというケースもあり、それは人それぞれのようです。
抗がん剤治療をすると決めたら、その副作用には耐えていかなければならないのですが、患者にとっては苦痛でしょう。
副作用がまったく無いという夢のような抗がん剤が出てくることをみんな期待していますが、現実的には難しいようです。